お母様の力あってこその上達

今日のYちゃんのレッスンは、ピアノを弾くにあたり「大切な奏法」を学ぶ曲だった。ピアノを習いながら大切でないことなんて何一つとしてないのだが、今日は特に大切な弾き方を習得してもらいたい曲(具体的には、いくつかの音を滑らかに弾くためのレガートという弾き方)だった。前回のレッスンでも同じ曲をやったが、今日で合格とするにはやや完成度が足りない感じがした。何度かその場で一緒にやってみたもののなかなか上手く出来ずに、Yちゃんはだんだん苛立ってきていた。苛立った時点で、出来るわけはないのでもう1週間練習するように伝えた。

大人であれ子供であれ、すぐに出来ないことに苛立ったり焦ったりするのは当たり前だ。そこをぐっと我慢して、また気を取り直して翌日に練習、、、を繰り返すことで、ようやく習得できる。Yちゃんのお母様はとても熱心な方で、ご自分でもピアノを弾ける方。毎回きっちり練習させているので本当に頭が下がる。習い始めの幼児の上達は、お母様がどれだけお子さんと一緒に練習してくださるか?にかかっているといっても良いほどだ。

もちろん、「慌てて上達する必要はなく、楽しくピアノ教室に通って欲しい」と思われている親御様も結構多い。どちらが良い悪いではなく、教える側としてはご家庭の(特にお母様の)方針に従うのみなのだ。Yちゃんのお母様を見ていると、昔、自分の息子に躍起になってバイオリン練習をさせていた自分を思い出す。ピアノもバイオリンも、もちろんサッカーやテニスも、親が一生懸命になればなるほど、当然ときに苦しい時がある。子供だっていつも体力、気力が有り余っているわけでもなく、不調な日もやりたくない日もある。上手くいく日もどうにもならない日もあるのだ。親だって同じこと。

Yちゃんのお母様の頑張りのおかげで、Yちゃんは指の形もとてもきれいになり、ピアノの音も素直なきれいな音になってきた。気になったのが、お母様はYちゃんだけが手こずっているのではないか?と思われているようだった。今まで何百人と教えてきたが、程度の差こそあれ、幼児の間はあまり差はない。Yちゃんだけが出来ないのではなくみーんな出来ないのだ。子育てはすべてそうだと思うけれども、自分の子供しか見えない。同じ状況になった時のAちゃん、Bちゃん、Cちゃん、、、みんな同じで、出来ないことをやらせようとするお母様はみーーんな大変なのだ。それをレッスンに付き添われるすべてのお母様に伝えて、少しでも気楽に練習していただきたいと思う。

お母様方の願いはそれぞれだと思うが、それらにできる限り応えられるように、私たち講師も日々研鑽を積むのだ。

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