ピアノの発表会や人前で演奏する時には、多くの場合が楽譜を見ずに弾く。楽譜を覚えることは「暗譜」と呼ばれ(譜面を暗記するからこの名前になったと思われマス)、ほとんどの演奏者はこの暗譜に1度や2度困っていることと思う。その昔、百人一首を暗記したことがあったが、小学校高学年にもなればピアノ曲の場合は数ページに及ぶものとなるため、百人一首のように一句一句短いものを覚えるようにはいかない。
ピアノ曲のほとんどが、右手で大事なメロディ(歌いたくなるような旋律)を弾き、左手はサポート役の伴奏となる。サポートといっても補佐ではなく、なくてはならない存在。しかし左手だけを弾いていても味気なくつまらないものなのだ。暗譜で苦労するのは90%以上が左手だと思う。右手のメロディは、練習のたびに無意識に聴いているので覚えてしまうが、左手は先ほども触れたように「聴いていてもつまらない」→「聴かない」→「覚えられない」という流れに自然となっていく。
そうはいっても人間とはすごいもので、左手だけ意識的に覚えなくても右手とセットで「なんとなく」覚えていく。そして自分でも暗譜OK!と思ってしまう。そのため、いざ発表会や人前で弾こうとなると、左手が思い出せずに大変なことになる、、、、、。その流れの予想がつくので、レッスン中には「左手だけ練習すること~左手だけねー」と必ず伝えるのだが、なかなか定着しないようだ。有能な補佐である左手伴奏を大事にするようになると、演奏も確実に上手くなる。これからも「左手は大事だよ説」を伝え続けて、1人でも多く「暗譜なんて怖くない!」と言い切れる生徒さんを増やしたいと思う。